12月14日、採録出版記念会は苦労をまわりにかけながら
無事終わりました
これを人生の再スタートにすることができれば
と思います。
つたない文章ですが、そのときのあいさつ文を載せます
「本日は、皆さんの貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございます。
ALSになってから、たくさんの方と一度にお会いするのは初めてです。
採録1・2・3の編集・寄稿・発行に努力して下さった方々に心から感謝いたします。
さて、この採録の思想は『自治』の思想であり、67歳まで、私の理想でもありました。
しかし、非常に観念的です。
『自治』とは、他者の干渉を受けず、自分自身で自己決定することですが、現実はALSになり、他者の協力無くして生きられないことを日々痛感しています。人は一人では生きられないという事を1分1秒ごとに教えられている毎日です。
改めて、『自治』とは、他者の協力による協治、協力して治める事であると考えさせられます。
私は、67歳まで家庭人ではありませんでした。家で食事をするのは日曜日だけでした。子どもは小さいときは妻任せ。大きくなってそれぞれ独立した人格となり、家庭は夜に帰るプラットフォームのようなものでした。
しかし、ALSになってからは在宅生活。家族がいなければ1日も生きられません。
まさに家族愛の中での協治です。その家族の果たしている役割は、その多くを本来は社会が担わなければなりません。
家族は疲れ、悲劇を生みます。
一般に、社会的自治というと善意任せです。
是非これからは、この自治と協治を含んだ社会的自治の仕組みを作りたいものです。
分かっている人は、「須田は今さら何を!」と言うでしょうが、毎日悩んでいます。
今、私は家族以外の多くの支援を受けています。看護師さんやヘルパーさんを含め、20人を超える人たちの援助を受けています。恵まれていると言えますが、それでも限界があります。
介護する人の条件があまりにも恵まれないからです。ALSになり、呼吸を機械に頼り、水一滴も喉を通らず、毎日痰を取ってもらい、水分と栄養分を人に頼ってイロウから入れてもらっています。
こうした生活で『生きる』とはどういう事でしょうか?
でも、死を望むのではなく、生命のある限り、社会の一員として生きたいと思います。
ALSの患者も難病・障害の人も、社会の一員です。
どうか、これからもご支援をよろしくお願いします。今日は、本当にありがとうございました。」